ビタミンD(カルシフェロール)について

ビタミンD(カルシフェロール)とは?

脂溶性ビタミンの一種だが、他のビタミンと違い細胞や臓器の働きに直接的に影響を与える「ホルモン」のような生理活性を持つ。ビタミンDはさらに、植物由来のビタミンD2と動物性のD3に分けられる。(※人間の皮膚内の細胞で合成されるのは、ビタミンD3)

◆ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)…植物性
【多く含まれる食品】シイタケ、酵母、小麦胚芽油、ホウレンソウ、キャベツ
◆ビタミンD3(コレカルシフェロール)…動物性、体内で合成
【多く含まれる食品】魚の肝臓、肝油、動物性たんぱく質(魚)

体内に入ったビタミンDはまず肝臓で代謝されて血液の中に蓄えられ、その後腎臓において「活性型ビタミンD(別名:カルシトリオール)」に変化する。この活性型ビタミンDがカルシウムの吸収を助けたり、細胞組織に直接働きかけ様々な生理活性を行っている。

体内での働きと有用性

  • 血液中(血清中)のカルシウムとリンのバランスを保つ
  • カルシウムやリン、マグネシウムの吸収や働きを助けて骨や歯を丈夫にする
  • マグネシウムの吸収を助けることで、各種ホルモン、酵素の生産と活動を円滑にする
  • 免疫細胞を活性化し、抗がん作用や感染症への抑制作用をもつ
  • サイトカインの過剰な生産と反応を抑える(ぜんぞく等の炎症を抑える)
  • 多発性硬化症(リウマチ)の予防
  • インスリン抵抗性の抑制(Ⅱ型糖尿病の改善)
  • 結核の感染予防
  • etc.

ビタミンDは体内に於いて活性型ビタミンDに変わり、人体にとって様々な有益な働きを行っている。これまで、ビタミンDといえば腸でカルシウムの吸収を助け骨の健康を支えるのに必要な栄養素、という認識程度であったが、近年、いたるところの細胞組織に直接影響を与えるホルモンのような働きをし、生命機能に欠かせない栄養素であることが分かっている。このことから、体内のビタミンD濃度レベルを知ることは健康レベルを知ることであるとも言われている。

活性型ビタミンDが作られるまで

  1. 体内に入ったビタミンD3やビタミンD2はまず肝臓へ送られる
  2. 肝臓において、25-OH-ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD)に代謝される
  3. その後、25-OH-ビタミンDは腎臓へ送られ、酵素(水酸化酵素)の作用によって、活性のあるビタミンD(1-α,25-OH-2ビタミンD:別名カルシトリオール)と24,25-OH-2ビタミンDに変化する

この活性型ビタミンDが、細胞や臓器の働きに直接的に影響を及ぼすホルモンにも似た働きを行っている。

体内でのビタミンD量を知るには?

体内のビタミンD濃度を知るには、ビタミンDの代謝産物である血液中の「25-OH-ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD)」の数値を検査する。この物質がその後、主に腎臓で活性型ビタミンDに変わる。(体内に蓄えられるが約2週間で半減する)近年、この血中ビタミンD量が低いほどに様々な疾患のリスクが増え高いほどに健康を維持し長生きできるという研究結果が次々と報告されている。

血液中の25-OH-ビタミンD基準値(検査方法により異なる)
日本 7~40ng/ml前後
アメリカ 32~100ng/ml前後
  • 日本での研究は少なく、もっぱら「くる病」の発症予防の観点からの最低基準値となっている
  • アメリカの一般的な医療施設では、体内のビタミンDの適切な維持量として血液中の25-OH-ビタミンDの下限数値を3Ong/mlとしているところが多い
  • 栄養療法を行うクリニックでは下限を50ng/mlとし、少なくともこの数値以上を維持することが健康管理には必要とされている
  • 現代の食生活やライフスタイルを考えると体内ビタミンD量の下限数値は40ng/ml前後に維持することが望ましく、そのためには、一定期間1日あたり3,000~5,000IU(75~125mcg)のビタミンDを摂取することが必要であると報告されている
≪日本におけるビタミンD摂取基準≫ 四訂日本食品標準成分表
摂取基準 目安量 上限量
成人(男女) 5μg(200IU)/日 50μg(2,000IU)/日

この基準値はもっぱら疾患発症予防の観点からの最低基準であり、さらに太陽光から隔離されるような環境では、上記目安量の摂取では少なすぎる可能性が示唆されている。例えば、潜水艦の乗組員での調査では400IU/日の摂取でも血中ビタミンD濃度を適切に維持できないとの報告がある。

  • 摂取上限は1日10,000IU(日本)~25,000IU(米国)でも毒性なしとの報告
  • 高カルシウム血症の場合は禁忌

ビタミンDの摂取法 食事と日光

食品からとれるビタミンD(100g中の含有量)
すじこ 2400IU(60mcg) カレイ 920IU(22.5mcg)
キクラゲ(乾燥) 1740IU(43.5mcg) しいたけ(乾燥) 680IU(17mcg)
サケ 1300IU(32.5mcg ウナギ 560IU(14mcg)
メカジキ 1000IU(25mcg) サバ 440IU(11mcg)

※これだけの食品を毎日食べるには塩分やコレステロール過剰を同時に心配しなければならない…

◆太陽(日光浴)から合成されるビタミンD

→春から秋にかけて、日中平均10~40分間日光浴で紫外線を浴びることで平均20,000IU(500マイクログラム)のビタミンDが作られると言われている。

1日あたり3,000~5,000IUのビタミンDを得るためには…
4~9月 1日10分程度の日光浴
10~11月 1日15~20分程度の日光浴
12月~3月 1日20~30分程度の日光浴

→大体において10~30分程度の日光浴で十分なビタミンDが作られる

◆ビタミンDの不足要因
偏食<紫外線不足 ※食事の偏りよりも日光を浴びないことがより大きい
◆ビタミンDの消耗要因
ストレス、肥満、動物性たんぱく質(肉、乳製品)の摂り過ぎ…等

ビタミンDの健康作用 ~近年の研究報告から~

◎がん予防
→活性型ビタミンDがステロイドにも似た強い活性をもち、がん細胞の増殖を抑制する。

※2013年にカリフォルニア大学サンディエゴ校により、「血清中のビタミンD量が低い女性では乳がんの発症リスクが著しく高くなる」ことが報告されるなど、活性型ビタミンDががん細胞の増殖を抑制する研究報告は 多く発表されている。実際にイギリスやドイツ、カナダでは、乳がん、前立腺がん、大腸がんの予防に、1日5分~10分程度の日光浴と、ビタミンDが豊富に含まれる食材、特に魚を積極的に食べることを、国や州をあげて行い始めている。

◎うつ、自閉症予防、脳神経疾患予防
→活性型ビタミンDが脳の様々な働き、特に行動にかかわる働きに直接影響を持っており、情緒や睡眠のコントロールをするセロトニンの合成にも関わっている。また、強力な抗酸化作用と解毒作用を持つグルタチオン(アミノ酸の一種)の合成と働きにビタミンDが関わることで、脳神経に悪影響を及ぼす水銀など重金属の排出を促す。

※2004年オーストラリアの統合失調症研究所による報告によると、妊娠直前の女性にビタミンD不足があった場合、妊娠中の胎児において活性型ビタミンDの合成が低下する可能性が高く、妊娠を予定している女性が積極的に摂取するべきビタミンの中にビタミンDをリストアップするべきとしている。

※冬になると日照時間が極端に少なくなる欧米の高緯度の地方では、以前から「季節性うつ」が広く知られている。年間日照量が少ないと言われるアメリカワシントン州シアトルやオレゴン州の一部では、全米の平均よりもうつ病の発症率が多く、血液中のビタミンDが不足傾向にあることが報告されている。

◎骨粗しょう症予防・乳幼児のクル病(骨軟化症)予防
→ビタミンDは腸からのカルシウムやマグネシウム、リンの吸収を助け骨の形成や再石灰化に関わっている。中高年以降の骨や節々の健康にビタミンDは欠かせないことに加え、アメリカの小児学会では、乳幼児のクル病予防に以下の点に関して注意を呼び掛けている。

  1. 妊娠中期以降からの妊婦は積極的にビタミンDを補充すること
  2. 少なくとも生後12カ月間は母乳を与える
  3. 毎日十分な日光浴をさせる
  4. 場合によっては乳児に対してビタミンDを与える
◎結核菌、インフルエンザウイルス等の感染症予防
→ビタミンDには体内で作られるウィルスやバクテリアに対する免疫(抗体など)の生産を向上させる働きと、サイトカインの過剰な生産と反応を抑える働きがある。つまり、免疫力を高めるだけでなく、過剰な免疫反応は抑えように働いている。

※UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の研究発表(2006年)によると、ビタミンDには結核菌に感染した直後に働く免疫システムを活性させ向上させる働きがあることを発表し、「アメリカ国民の70%でビタミンDの不足および最適な量のビタミンDの補給が行われていない可能性があり、結核菌だけでなく新種のインフルエンザウイルス感染予防のために最適な量のビタミンDの積極的な摂取が望まれる」とコメントしている。

その他、Ⅱ型糖尿病患者のインスリン抵抗性を緩和する作用、インフルエンザの症状改善と予防に関する作用など、ビタミンDの健康作用に関する研究報告は枚挙にいとまがない。

何故、今、サプリメントでビタミンDなのか

ビタミンDは日差しをよく浴び、魚や野菜などを多く食べる日本人には必要十分に満たされているものされてきたが、魚や和食離れといった食生活の変化や、紫外線対策の日焼け止めやライフスタイルの変化によって、必要十分なビタミンDが合成しきれていない。

日光浴が不足する背景
◆強い紫外線への不安
地球温暖化、オゾン層破壊からくる皮膚がんへの不安/年中、服や日焼け止めクリームで覆われる素肌
◆大気汚染への不安
特に妊婦・乳幼児の健康への影響に対する不安
◆夜型やインドアのライフスタイルへの変化
デスクワーク中心の仕事の増加/昼夜逆転の仕事の増加/TVやPCゲームの普及により子供が外で遊ぶ機会が減る etc.
◆高齢化社会に伴う寝たきり人口の増加
食生活の変化
◆日本人の魚離れ
◆食の欧米化に伴う和食離れ
◆食材そのものに含まれる栄養素の減少

これらの背景から、今後ビタミンDの必要性が増していくことが予想される。特に、乳幼児・子供、妊婦、そして合成力の衰える高齢者は適度な日光浴とともに、サプリメントによる安定した補給で体内ビタミンD濃度を適切に維持していきたい。

カテゴリー: 特集   タグ: ,   この投稿のパーマリンク