第60回 冬季うつ病について ~原因と対策~

皆様こんにちは。日中は幾分暖かい日が続いておりましたが、一気に気温が低くなり日中も寒い日が多くなってまいりました。しかし毎年秋から冬にかけて体がだるい、疲れが取れない、気持ちが落ち込むと感じる方が多くいらっしゃいます。単なる疲れがきている、この時期乗り越えれば大丈夫だろうという方、油断は禁物です。もしかするとそれは「冬季うつ」かもしれませんよ。

冬季うつ病とは

冬季うつ病とは別名「ウインターブルー」とも言われており、日照時間が少ない秋から冬にかけて症状が出始め、周期的なことが特徴とされていて、日差しが長くなる春頃になると回復するというサイクルを繰り返します。日本人の10人に1人の割合で発症していると言われ、患者の男女比では、比較的女性が多いと言われています。また今年はくもりや雨の日が多く日差しに恵まれる日が少なかったことから、例年よりも患者数が多い予想です。一度発症すると毎年繰り返す傾向があるので、毎年悩まされる方もそうでない方も、本格的な冬を迎える前に早め早めの対処が必要です。

さて、冬季うつ病はどのように診断されるのでしょうか。

冬季うつ病の主な症状チェックリスト

  • 気分が落ち込む。
  • 日中眠い。
  • 疲れやすく、体を動かすのが億劫。
  • 自分で明らかにわかる程集中力が落ちている。
  • 食欲が減退、反対に亢進して炭水化物や甘いものに手が伸びる。
  • 食べても美味しくない、味気ない。

※3つ以上当てはまると冬季うつ病予備軍かもしれません。今後、生活習慣の見直しが必要になってきます。

次に冬季うつ病はなぜ発症するのかメカニズムについてご説明しましょう。

なぜ発症するのか

~日照時間の低下~

冬季うつ病が生じる原因として、様々な要因が考えられますが、最も大きな原因は日照時間の低下と考えられています。要するに日照時間が少ないということは脳内の「セロトニン」の量が減ってしまうのです。セロトニンとは三大神経物質の一つで、脳の覚醒や安心感、やる気等の人間の精神面に大きな影響を及ぼします。セロトニンの量が不足すると気分の落ち込みや、うつ傾向が強くなります。冬季うつ病と関係するセロトニンの量を調節しているのが「セロトニントランスポーター(SERT)」と呼ばれるタンパク質で神経線維の末端から出たセロトニンを再び細胞内に取り込む役割を果たしています。

さらに日照時間は睡眠を促すホルモン「メラトニン」にも関係していると言われています。メラトニンは目覚めと共に分泌が止まり、太陽の光を浴びることで体内のメラトニンの量が減少するといったサイクルを繰り返します。日照時間が少ないということは、睡眠を誘うメラトニンが減少しないので、冬季うつ病の症状の一つの常に眠い状態が続くのです。

~寒暖差が大きい~

日中と夜の急激な温度変化は自律神経の働きを乱す原因となります。自律神経はやる気モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経から成り立っており、本来バランスが取れていることが望ましいと言われています。自律神経の乱れるということは通常ならば副交感神経が働かなければならない時に交感神経が働いてしまい、交感神経が働かなければならない時に副交感神経が働いてしまうことをいいます。

例えば夜眠るときには副交感神経が優位に働いていなければいけないのですが、なかなか眠りにつけないことはありませんか。軽いものだからといって症状を放っておくと慢性的な不眠症に陥いりやすくなります。さらに乱れている状況が続くと自律神経失調症へと症状が進み、最終的には重度のうつ病へと悪化してしまうのです。他にも日中勉強したり、仕事で働いているのに眠くなるのは、本来働くべき交感神経が働かず、副交感神経が優位になっているからです。これもこれも立派な自律神経の乱れです。あまりにも症状が辛く、ひどい場合には病院での治療も必要になってまいりますが、普段の生活に一工夫することで、症状の軽減や予防をすることが出来ます。

最後に対処法についてご紹介してまいります。

対処法

~日光を浴びる~

日光を浴びることで、体内時計を正常に保ちます。実際に「高照度光療法」という治療法が医療機関にて実施されています。これは蛍光白色灯を1日1回、1回あたり2~3時間照射する治療法で、ずれてしまった生体リズムを強制的に戻します。実施した70%の患者さんに効果的と言われています。

発症の原因にはセロトニンの減少が大きく関わっているので、日光を浴びてセロトニンを増やしてあげることが重要です。太陽光が目に入ることで信号が脳に伝達され、脳内でセロトニンの分泌が増加し、反対にメラトニンの分泌は抑制されます。太陽が沈み始める夕方からセロトニンは少なくなり、メラトニンが活性化して適切な時間に自然に眠りにつくことができます。2つのバランスが取れてリラックスして前向きな気持ちを保ち、体内時計を正常にし、うつ病の予防や改善に大きな作用をもたらします。

太陽を浴びることはとても万能で、骨や歯の形成のサポート、疲労回復、血圧降下作用、免疫力をアップさせるなど様々な効果があります。太陽を浴びて生体リズムを整えてあげましょう。

~体を冷やさない~

冷えは万病の元と言われている程大敵です。基本的に太い血管の通っているところやお腹、腰を重点的に温めることが大切です。体を温めることで胃腸の働きがよくなり、全身の血行を促します。脳の前頭葉の血行が悪いこともうつ病の原因の一つと言われているので、脳の血行が良くなるということは栄養分が脳に届きやすくなります。

~トリプトファンを取り入れた食事を心がける~

旬の時期の食べ物は栄養がギュッとつまっています。その時期ならではのものを食べて、栄養補給をしましょう。

太陽光だけでなく食べ物からでもセロトニンをつくりだしてあげることは可能です。セロトニンの生成に役立つ「トリプトファン」という成分を積極的に食事に取り入れてあげることで、食事からの症状の改善・予防に役立ちます。トリプトファンとは必須アミノ酸の一つでセロトニン、メラトニンといった物質を作ることで知られている栄養素です。トリプトファンは、魚や肉、大豆、緑黄色野菜などとても幅広い食品に含まれています。特にかつお、さんま、いわし、チーズ、鶏レバー、油揚げ、納豆等に多く含まれています。トリプトファンは体内で合成されないため、食べ物から摂取しなければなりません

普通に食事をしていれば問題なく摂取できる量ですが、トリプトファンは、ビタミンB6がないとセロトニンを生成できないため、最大限の効果を発揮させたいなら、ビタミンB6を含む食べ物も同時に摂取する必要があります。にんにく、アボカド、まぐろ、牛レバー等に多く含まれています。

普段のお食事にも工夫することで冬季うつ病にかかりにくい体作りができます。

ここまで冬期うつ病についてお伝えしてまいりました。暖かくなるまでうつ症状に悩まされるのはつらいですよね。特に症状が出始めている方は早め早めに対処し冬に負けない体づくりをしていきましょう。

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