第28回 実践!夏バテ防止の栄養学~美味しく食べて健康に~

2010年8月更新

皆様こんにちは。突然ですが今年の夏は本当に暑かったですね。連日にわたり、熱中症の話題がニュースにのぼらない日は無いというくらい、皆様の予防意識も高まっていたのではないでしょうか?暑さ寒さも彼岸までという言葉もございますが、夏バテは暑さが過ぎ去った頃にやってくるとも言われます。そこで、8月の約1ヶ月間、メールマガジンにて、夏バテ防止の栄養学「実践編」をお伝えして参り夏バテましたが、こちらでは、以下の3項目にクローズアップして加筆し、まとめて一挙公開いたします。「食」は生きていくうえで、欠かせないもの。どうせなら「美味しく食べて健康に」をテーマに、楽しく夏バテ防止を実践してまいりましょう!

発酵食品
ネバネバ食品
サラサラ食品 と進めて参ります。

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【発酵食品】

皆様は、【発酵食品】と聞いて何が思い浮かぶでしょうか。
味噌、納豆、キムチ、漬物、ふな鮨、豆腐よう、くさや、といったお馴染みのものから、日本酒、焼酎、ワイン、ビール、などのお酒や紅茶やウーロン茶なんかも発酵食品の部類に入ります。

「発酵食品は身体によい」というのは、もはや常識になっておりますが、【発酵】とは一体どういうことなのでしょうか?まずは簡単に定義していみたいと思います。

発酵とは、たくさんの微生物(酵母や酵素、さまざまな菌類)たちの
働きによって食物の中の糖質やたんぱく質、でんぷんなどが分解され、
新たに体にとって良い成分が作り出される事です。

つまり、発酵という過程があると、一つの食べ物が全く別のものなるといって良いほど、栄養価が高まるので、「発酵」は魔法のようなプロセスなのです。

きゅうりのぬか漬けの写真ここでは、日本人にとって馴染みの深い『ぬか漬け』を例にとって見てみましょう。子どものころ、よく祖母や母がぬか床をこねていた風景を思い出します。まさにお袋の味。ご家庭ごとの味があると思います。
そんなぬか漬けですが、生野菜をそのまま食べるよりはるかに栄養価が高いです。
野菜をぬか漬けにすると【ビタミンB1】の含有量が増えます。これは、ぬか床に使う米ぬかが【ビタミンB群】の宝庫だからです。ビタミンB群は、水に解けやすいので、ぬかのビタミンが水に溶け、漬け込まれた野菜にも浸透するという仕組みなのです。

たとえば、夏の旬野菜「きゅうり」は90%以上が水分でほとんど栄養がなく、その低さたるや『世界一栄養がない野菜』として、ギネスブックに登録されるほどなのですがが、ぬか漬けにすると驚くほど栄養価が高まります。

暑い夏はビールが特に美味しいですが、ビタミンB群が豊富なぬか漬けはおつまみに最適です。ビールの糖質を分解し、エネルギーに変化させてくれるのがビタミンB1だからですね。一般に食欲の落ちる夏場は、冷たくさっぱりとした素麺などが食事の定番ですが、素麺の食べすぎは糖質過多となり、血糖値を上昇させてしまいます。そんな時、すばやくエネルギーに変えてくれる「ぬか漬け」は、やはりおかずに最適なのです。

ぬか漬けでもう一つ忘れてはならないのが、発酵過程で生まれる「植物性の乳酸菌」ですね。生きたまま腸に届く力が強い乳酸菌として、有名です。乳酸菌は腸をキレイにし、腸がキレイになれば、免疫力が高まり、夏バテに負けない身体を助けることになります。

ぬか漬けに限らず、総じて発酵食品は乳酸菌が豊富ですから、積極的に召し上がって暑い夏を乗り切りましょう。

【ネバネバ食品】

Bowl of soy beanの写真つづいて、夏バテに効く食べ物として、ネバネバ食品、つまりネバネバと糸を引く食べ物をお勧めいたします。ネバネバ食品と言えば・・・納豆、ヤマイモ、オクラ、モロヘイヤ、メカブ、なめこ等が代表的ですね。

このネバネバ成分の正体をご存知でしょうか。その名は【ムチン】といい、多糖類(水溶性食物繊維)とタンパク質の複合体からなる粘性物質です。(ムコ多糖体の一種)

他にも、うなぎ、どじょう、貝類といったものにも含まれていますが、食品だけでなく気管、胃や腸などの消化管、生殖腺、目などヒトの粘膜の表面を覆う粘液の主成分もムチンです。
このムチンの働きとして代表的なものとして、

1.胃の粘膜を保護する
2.タンパク質の消化・吸収を高める
3.抗ウイルス作用をもつ

といった活躍をしてくれるので、例えば冷たいもののとり過ぎで弱った胃腸をいたわり、またタンパク質の分解も助けてくれるので、消化促進になり、こちらも胃腸にやさしいというわけです。夏バテで食欲が無いときなどは、オクラや山芋、モロヘイヤなどを食べるのは理にかなっているのですね。また、胃炎や胃かいようなどの予防や、免疫力を高める効果があると言われています。

考えて見ますと、ネバネバ食品は日本の伝統食で、外国の方々は納豆はじめ、ネバネバしたものは殆ど食べられないといいます。日本は長寿の国といわれますが、この【ムチン】が一役かってるかも知れませんね。

冷やっことオクラさて、この【ムチン】の力を最大限生かす食べ方としては、やはり「生」でそのまま食すのがお勧めです。特に旬野菜であるオクラモロヘイヤあたりは、刻んで、しょうゆや鰹節と合わせて、そのままつるっとのど越し良く、お召し上がりになるのが一番です。冷奴の薬味にしても美味しいですし、同じネバネバ系の納豆などに混ぜて食べればネバネバのダブルパワー(笑)。是非いろいろとお好みで夏バテ予防に活かしてください。

【サラサラ食品】

さて、最後に【サラサラ食品】に迫ります。ちなみに、手触りがサラサラした食べ物という意味ではなく、食べると血行が良くなる、いわゆる血液がサラサラする食品のことです。何故、夏バテ予防食の最後に「サラサラ食品」が登場するのでしょうか?

実は、血管がつまって起きる病気の代表格「脳梗塞」が一年で一番夏場に多く起こるからなのです。これは、暑い夏に汗をかきすぎたり、水分補給が十分でないと「血液」の流れが滞り、血管が詰まりやすくなるためです。特に高齢者の方は、のどの渇きを感じにくくなり、水分補給が遅れて脱水症状を起こしやすく、血液の濃度も高くなって、細かい血管が詰まりやすくなるため、脳卒中や狭心症、心筋梗塞のリスクが高まります。

そこで、老若男女問わず、こまめな『水分補給』は欠かせないわけですが、同時に『血液をサラサラ』にしてくれる心強い飲み物があるのです。

それは、麦茶です。

血行をよくする代表的な栄養素として、

DHA、EPA ・・・ 青魚、亜麻仁油など
マグネシウム ・・・ ごま、ナッツ、海藻
ビタミンB群 ・・・ 豚肉、ぬか漬け
ルチン ・・・ そば

などが特に有名ですが、麦茶の香り成分がある飲料メーカーと農水省食品総合研究所の共同研究によって、血液をサラサラにする作用があることが分かって麦茶の写真います。
この麦茶の香りとは、大麦を焙煎することで発生する【ピラジン】という成分で、ピーマンや納豆の匂いの成分でもあるそうです。

汗をかいて水分がでてしまうと、血液はドロドロになり乳酸等の疲労物質が溜まりやすくなり、夏バテの原因になります。そんな、夏の水分補給の一つに「麦茶」はいかがでしょうか?水分も補えて、血液もサラサラにしてくれるなんて、一石二鳥ですよね。

さて、

発酵食品
ネバネバ食品
サラサラ食品 と進めて参りました、第28回目の健康トリビア「実践!夏バテ防止の栄養学」はいかがでしたでしょうか?こうして見ると、全て夏が旬のものばかりですね。まさに医食同源、人間も自然と調和した生活習慣を心がけましょうと、教えられているのかも知れませんね。まだまだ暑さは続きそうですから、是非実践してみてください。

カテゴリー: 知っ得!納得!健康トリビア   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク