第33回 実践!【熱中症予防】~水分補給と栄養補給のヒケツ~

2011年6月更新

皆様こんにちは。今年ももうすぐ夏本番。昨年の夏は記録的な猛暑でしたが、今年はどうなることやら。。。昨年を上回るというようなことが無いように祈るばかりです。
さて、暑い季節にまず気をつけなければならない健康上の問題といえば? 言わずと知れた熱中症ですね。炎天下に外出される場合はもちろんのこと、最近では室内にいてもヒートアイランド現象によりそれとは気づかずに熱中症にかかってしまうケースも多々ございます。しっかり対策しているつもりでも、その危険性は思わぬところから忍び寄ります。熱中症はときに命を脅かすことにもなるため油断はできません。特に今年は節電の影響で、冷房の使用が控えられることが予想されますので、特に気をつけたい問題ですね。熱中症の予防には一に水分補給、そして適切な栄養補給です
本格的な夏を迎える前に熱中症対策のヒケツに迫ってみましょう。

簡単解説:熱中症とは??
熱射病-女の子の写真熱中症とは高温多湿の環境において生じる適応障害のことを言います。簡単にいうと体の内外が熱くなっておこる様々な不調のことです。
人間は皮膚の表面から熱を放出させたり、汗をかいて、その汗が蒸発することのよって熱を放ったり、という体温を調節するメカニズムを持っていますが、熱中症は、この機能がコントロールを失い、体温がぐんぐん上昇することよって起こります。症状別に熱疲労や熱失神、熱けいれん、熱射病などに分類され、最悪の場合は死にいたるほどの恐ろしいものです。
実は、炎天下ばかりでなく、室内で過ごしていても起こり得ます。実際、高齢者が家の中で熱中症になって倒れているのを発見されるというケースも少なくありません。
特に乳幼児や高齢者は体温調節機能が低く、喉の渇きも感じにくいので大変注意が必要なのです。

熱中症予防~水分補給と栄養補給のヒケツ~

では、本題の「熱中症予防に効果的な水分補給と栄養補給のヒケツ」についてみていきましょう

【水分補給編】

Q:水分はこまめに補給っていうけど、どのくらいの頻度と量が必要なの?

ペットボトルの水を飲む女性の写真A:昼間はコップ1杯の水を1時間おきに、起床時や就寝前にも忘れずに定期的な水分補給を心がけてください。大人の場合、最低でも1日2リットルは水を飲むようにしてください(子どもはその半分)。
運動中は15分~30分おき、一時間以上のスポーツの場合は10分~15分おきに補給するのが理想です。

いきなり結論から入りましたが、次に挙げるポイントに気をつけて正しく水分補給しましょう。

<水分補給のポイント>

●「のどが渇いてから」では遅い!
人間はのどの渇きを感じる感覚が、他の感覚に比べて鈍くできています。その為、のどが渇いたと感じたときには既に軽い脱水状態にあると言えます。
汗がよく出る夏には、特にこまめな水分補給を心がけてください。

●大量に汗をかいた場合はスポーツドリンクを!
汗の成分にはナトリウム、カリウムなどの電解質が含まれていますので、失われたミネラルを含んだスポーツドリンクが適しています。但し、市販のものは糖分が高いものも多く、急激な血糖値の上昇、食欲不振、その結果、夏バテにもつながりますので、飲みすぎには
注意が必要です。ここぞという時の水分補給に適し、普段はお水で充分です。

●水分の摂りすぎにも注意!
冷たいものを一度に飲みすぎると、胃腸が冷え、胃液が薄まり、消化機能が低下します。その結果、食欲不振、体調不良を招くことがありますので、一度に飲む量はコップ1~2杯程度にしましょう。また、食事中に水をガブガブ飲むのも禁物。胃で水分がもたつき易く、消化にも負担がかかり腸での吸収が遅くなります。体に要らないものがたまりやすくなりますので注意しましょう。

知ってるつもり!? こんなに重要な水の役割
水は体内で様々な役割を担っています。通常の生活では、毎日2リットル以上の水分が体から出入りしているといわれ、血液を介して酸素や栄養を細胞にHydrationの写真届けたり、老廃物を集めて排泄を促したり、運動などで発生した熱を処理して体温を調節するために汗となって体を冷やしています。したがって、気温と湿度の上昇で発汗が劇的に増加すると、酸素不足や栄養不足となり、細胞内に老廃物が溜まってしまうほか、体温がどんどん上がり通常レベルを超えてしまいます。気温がそれほど高くなくても湿度さえ高ければ汗の蒸発を妨げてしまうため熱中症のリスクが高まります。熱中症予防のためにはまずは水分補給が大切である大きな理由なのです。

<体内での水の役割>
・ エネルギーを作り出す作業にかかわる
・ 体に必要な酸素や栄養素、ホルモンなどを運ぶ
・ 二酸化炭素や、乳酸などの老廃物を運ぶ
・ 尿として老廃物を排出する
・ 汗として皮膚から熱を発散し、体温の調節を行う
・ 唾液や胃液として食べ物を消化する
・ 関節を柔軟に保つ潤滑油となる
・ 内臓や皮膚を保護する

赤ちゃんでは体重の75~80%、成人では60%、高齢者では50%が水分といわれています。
加齢と共に割合は減っていきますが、それでも身体の半分以上は水分でできているということですね。まさに命の水なのです。

【栄養補給編】

Q:汗を大量にかくと何故疲れがどっとでるのでしょうか・・?

A:これは大量の汗とともにナトリウムやカリウム、マグネシウムといった大切なミネラルが流れていくことでカラダの調子が崩れてしまうからです。筋肉が痙攣したり、疲労感やだるさを強く感じたり、心拍数が異常に上昇したりするリスクが高まります。日ごろから栄養バランスに気をつけ、必要であらばサプリメントなどで適切に補給しましょう。
もちろん普段足りているナトリウムも長時間のスポーツなどの場合は適時補うことが必要ですが、ナトリウムやカリウムの細胞内外のポンプのはたらきをする「マグネシウム」が特にキーワードになります。

特に熱中症予防に重要となる栄養素は以下の通りです。

◆マグネシウム
良く試合中に足がつったり痙攣したりするスポーツ選手が見受けられますが、これは明らかにマグネシウム不足からくる症状です。マグネシウムは俗にエネルギーミネラルとも呼ばれ、糖をエネルギーに換える時に必要になる他、血圧、体温の調節に働くなど、体内の約300種類の酵素の働きに関わっています。反面、とっても消耗しやすく、特に夏場は汗とともにどんどん身体から出でしまいます。夏バテ防止にも積極的に摂りたい栄養素です。また、マグネシウムが適量細胞内にあるとナトリウムとカリウムの細胞内外バランスを整えてくれます。

◆カリウム
カリウムは細胞内液に多く含まれており、水分の保持に働いています。カリウムが失われると細胞内が脱水症状を引き起こします。こうなると、熱中症発症後の臓器の機能障害の原因となります。そこでお勧めなのが、お味噌汁です。味噌汁は適度な塩分補給にもなります。カリウムやマグネシウムを摂るためにも、野菜や豆腐など具だくさんの味噌汁を作って飲みましょう。

◆ビタミンB群
夏場は、冷たいジュースやスポーツ飲料、ビール、アイスクリーム、そうめんなどの炭水化物など知らず知らずのうちに糖分過剰になっており、糖分を分解する際にも、体内でたくさんのビタミンが消耗されています。汗からどんどん流れ出て、体内でも消耗するとなるとこれでは慢性的な栄養不足に。糖代謝に欠かせないビタミンはビタミンB1です。ただビタミンBはチームではたらくので、B複合体(B群、Bコンプレックス、などとも呼ばれます)で摂るようにしましょう。ビタミンB1が不足すると、乳酸などの疲労物質がたまって疲れやすくなります。体が疲れて、食欲不振、倦怠感などの症状が発症すると、熱中症になりやすくなりますので、積極的に摂りたい栄養素です。
さらにビタミンB5(パントテン酸)は暑さのストレスから消耗しやすくなりますし、B6によってたんぱく質やアミノ酸の代謝を促進することも体調を維持するために必要です
今回の「スマイルレシピ」では、栄養バランスを考えた「そうめん」のレシピをご紹介しています。是非ご参考にしてください。

⇒ 参考 管理栄養士のスマイルレシピ「No.8  節電協力レシピ」

以上のように、熱中症を予防して夏を元気に乗り越えるためのポイントとして、

1.水分補給を忘れないこと
2.食事の内容が偏らないように(特に糖分過剰にならないよう)気をつけること
3.不足しがちな【ビタミン・ミネラル】を効果的に補給すること

が大変重要であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

特に、

●抵抗力の弱いお子様
●スポーツや力仕事をする方
●お年寄りの方
●ダイエットに気を使う女性の皆様
●妊娠中の方・・等水筒を飲む男の子の写真

はいつもよりもまして、この3つのポイントを意識してください。
四季のある日本は季節折々の健康法がございます。是非今回の熱中症予防の健康法を実践していだき、今年の夏を元気におすごしくださいね!

最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献:杏林予防医学研究所 編「スポーツコンディショニング塾」
「予防医学ニュース No.269」

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