昨年、テレビ番組で動脈硬化を予防する効果があると放送され、話題となった「米油」。これまであまり注目されてこなかった米油ですが、実は物凄い効能を秘めています。そこで今回は「米油」の健康作用とレシピをご紹介いたします。
- きゅうりのジェノベーゼ風パスタ(1人分 816kcal)
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- 材料(2人分)
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スパゲティ200g
ミニトマト2個
イタリアンパセリ適量
- 作り方
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- くるみは軽くローストしておく。
- きゅうりはへたを取り、縦横半分に切り、軽く湯通しする。
- ソースの材料をフードプロセッサーにかけ、滑らかになったらボウルに移しておく。
- たっぷりの湯でスパゲティを茹で、茹で上がったらザルで水気をよく切り、3.のソースでからめる。
- 器にパスタを盛り、ミニトマト、イタリアンパセリを飾り付ける。
- レシピ解説
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きゅうりは湯通しすることにより、青臭さやソースが水っぽくなるのを防ぎます。
大葉、きゅうりの代わりに、春は菜の花や春菊、秋にはかぼちゃ、冬は小松菜にしてもおいしくいただけます。
また、くるみの代わりに松の実やかぼちゃの種、ひまわりの種にしても良いでしょう。
米油の健康作用について
- 1.米油とは
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米油とは、玄米から白米に精米する時に出る、表皮と胚芽から取れる油のことです。米油は一般に、熱や光、空気による酸化安定性に優れており、揚げ物などの高温調理でも油酔い※しにくいといわれています。米油は油特有の臭みが少なく、食材の持つ味や香りを邪魔しないのが特徴です。また、国産の米ぬかを原料としている物が多いので、遺伝子組み換えの心配がありません。
※油酔い:揚げ物をしている人が気分を悪くする現象を「油酔い」と呼びます。これは加熱によりアクロレインという物質が発生するためです。 - 2.有効成分
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- リノール酸
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リノール酸は生きる上で欠かせない必須脂肪酸ですが、体の中で作り出すことができないので、食事を通して補っていかなければなりません。ただし、リノール酸は酸化しやすい多価不飽和脂肪酸であり、適量は必要ですが、摂り過ぎは禁物です。逆に健康を害することにもなるため、他の脂肪酸との摂取比率のバランスがとても大切になってきます。
- オレイン酸
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オレイン酸は酸化しにくい一価不飽和脂肪酸であり、リノール酸の短所を補うことができます。
多くの植物油がリノール酸を多く含んでいる中で、米油はこの2つの含有量バランスの比率が優秀です。リノール酸約38%に対して、オレイン酸が約41%含まれることで、酸化安定性が高くなり、調理に使いやすくなるだけでなく体への負担も軽くなります。- トコトリエノール
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トコトリエノールは、同じビタミンEのトコフェロールと比べ、単純に抗酸化作用が強いということだけでなく、皮膚の炎症を抑えたり、肥満を予防したりと、たくさんの健康効果があります。その中でも特に昨今期待されているのが、がんを予防する力です。
がん細胞は自らが成長するために、栄養や酸素を取り込むための新たな血管を形成します。これを「血管新生」といいますが、トコトリエノールには、血管新生を阻害する働きや腫瘍の成長を抑制する働きがあります。また、トコトリエノールは肌の老化を防ぎ、みずみずしくなめらかな状態を保つことができます。
- ガンマオリザノール
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ガンマオリザノールは、他の植物油には含まれていない米油特有の成分です。健康の源といっても過言でないほど多くの健康効果を秘めていますが、特に特筆すべき働きは、トコトリエノールと同様に強い抗酸化作用があることと、血中の余分な悪玉コレステロールが増えるのを抑え、動脈硬化などを予防してくれることです。
- 3.健康作用
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- がんや生活習慣病を予防・改善する
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がんや生活習慣病の大きな原因として、活性酸素による細胞のダメージが挙げられます。呼吸によって体内に取り込まれる酸素のうち、約2%が強い酸化作用を持つ活性酸素になるといわれています。もともと活性酸素はその強い攻撃力で体内に入ったウイルスや細菌を撃退するといった大切な役割があるため、適量であれば体に害を及ぼすことはありません。
しかし、日常で感じるストレス・睡眠不足・喫煙・質の悪い油や添加物の多い食事など生活習慣の乱れや、紫外線・環境汚染・電磁波などにより必要以上に増えすぎてしまった活性酸素は、健康な細胞まで攻撃してダメージを与え、高血圧・糖尿病・脳卒中などの生活習慣病やがんを引き起こすことがあります。
このような体内での酸化現象に対抗できるのが、強い抗酸化力を持つ「トコトリエノール」「ガンマオリザノール」です。酸化から細胞を守り、健康維持のサポートをしてくれます。特にトコトリエノールは、たとえがんになってしまったとしても、がん細胞に働きかけて成長をストップさせる心強い成分です。
- 動脈硬化、高血圧、心筋梗塞の予防をする
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米油に含まれている「植物ステロール」は、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病などのリスクを高める「悪玉コレステロール」を減らし、生活習慣病の予防をしてくれます。
さらに「ガンマオリザノール」には、食事で摂った脂質の吸収を邪魔するとともに、肝臓で悪玉コレステロールが作られるのを抑える働きがあります。
- 血管の老化を抑制する
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私たちの健康を維持し、様々な病気を予防するうえでも、血管の老化を防ぐことはとても大切です。血管や血液の状態はものすごく正直で、日ごろの生活習慣や食生活がそのまま反映されます。
健康の要である血管の細胞は油でできているので、全身をめぐる血管の老化をストップするためには、油に溶ける「抗酸化物質」が必要となってきます。
米油に含まれるビタミンEは、強力な抗酸化作用がある脂溶性のビタミンなので、血管の若返りにピッタリの成分です。また、「トコトリエノール」は若返りのビタミンであるビタミンEの中でも「スーパービタミンE」と呼ばれるほど抗酸化力が抜群に高く、血管をいつまでも若々しい状態に保ってくれます。
- ホルモンの調整作用で更年期障害を改善する
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米油に含まれる「ガンマオリザノール」は、ホルモンバランスの乱れによる更年期特有の悩みを改善してくれる強い味方。ガンマオリザノールには、ホルモンの分泌や調整を担っている脳の視床下部に働きかけ、更年期障害の緩和や自律神経の調整、緊張や不安、ストレスを抑える作用があります。薬などで症状を抑える方法とは異なり、米油なら毎日の食事を楽しみながら続けられることもメリットです。
- 4.米油のおいしい使い方
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- おひたしにかける
- 青菜などの野菜のおひたしはもちろん、納豆や冷奴などにもかけられるので、定番メニューのアクセントとしても◎。
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- みそ汁に入れる
- 風味やクセがないので、みそ汁に入れてもOKです。ほんの2~3滴加えるだけで、コクや深みが増します。
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- ごはんを炊くときに入れる
- 洗米したお米に、米油小さじ2~3を加えて炊飯することで、しっとりつややかなごはんが炊き上がります。
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- トーストに塗る
- 素朴なおいしさの米油は、バターの代わりにトーストにも塗れます。パンの味が引き立ち、シンプルなうまみを実感できます。
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- 生野菜と和える
- 米油は食材との馴染みがいいので、小さじ1程度の米油と塩、こしょうがあれば、おいしいサラダがパパッと簡単に作れます。
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- 刺し身の醤油に加える
- つけ醤油に数滴加えると、安価な刺し身でもコク深い味わいに。米油を熱々に熱して魚介のカルパッチョにかけるのもおすすめ。
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米油の栄養成分は、少し摂り過ぎてしまっても副作用の心配をしなくてもいい、安心な栄養素です。調理で用いる油は米油にするなど、無理のない範囲で生活に適宜取り入れてみてください。
参考文献:「米油で100歳までピンピン健康生活」株式会社宝島社