第46回 冬の感染症対策 ~ウイルスに負けない身体をつくる栄養素~

空気が乾燥し、またクリスマスや忘年会など人の多い場所に出かける機会が多くなる冬は、インフルエンザやノロウイルスなど伝染性の強いウイルス感染症が流行します。感染を防ぐためには、まず手洗い・うがい・マスク等を活用しウイルスを体内に入れない事が大切ですが、同時に栄養を不足させないように気を配り、ウイルスが入ってきても撃退できるよう身体の抵抗力を高めておくことも重要です。

今回は感染症から身を守るために、特に活躍する栄養素を目的別に3つに分けてご紹介します。各栄養素を摂るうえでの注意点と1日の摂取目安を掲載しますので、是非ご参考にしてください。

目的別感染症対策におすすめの栄養素

1. 粘膜を強くする亜鉛ビタミンA

  • 亜鉛やビタミンAは粘膜の生成や働きを助け、鼻や喉から入ってくるウイルスを撃退するのに役立つ。
  • 亜鉛は食品を加工する段階で失われたり、体内のアルコールを代謝するのにも利用される。そのため、コンビニやファストフードの食事が多い、飲酒習慣がある場合は不足しやすいと考えられる。
  • ビタミンAは緑黄色野菜からβカロテンの状態で摂る事で、過剰症を防ぐ事ができる。βカロテンは体内で必要な分だけがビタミンAに変換される。
亜鉛 ビタミンA
1日の目安
(成人の場合)
50~100mg 15000IU
(ビタミンA:約4,545mcg、βカロテン:約30,000mcg)
多く含む食べ物
(100g当たりの含有量)
牡蠣(13.2mg)、豚レバー(6.9mg)、牛肩肉(5.7mg) 鶏肝臓(14,000mcg)、うなぎ(2,400mcg)、ほたるいか(1,500mcg)
βカロテン
人参(9,100mcg)、ほうれんそう(4,200mcg)、かぼちゃ(3,900mcg)
備考 牛肉やレバー、豚肉、魚介類に多く含まれています。肉の場合は、特に赤身の部分に含まれていますので「もも」や「かた」の部位がおすすめです。 レバーや、ウナギ・ホタルイカなどの魚介類、緑黄色野菜に多く含まれています。

2. 免疫系の働きを高めるビタミンCビタミンD

  • ビタミンCやビタミンDは身体の中に入ったウイルスを撃退する「白血球」の働きを助ける
  • ビタミンDは日光に当たる事で皮膚でも合成されますが、日照時間が少なく、肌の露出が少ない冬に特に不足しやすい。
  • ビタミンDは、摂取した子供は摂取しなかった子供よりもインフルエンザ発症率が低いという報告があり、近年インフルエンザ予防として注目されている
  • ビタミンCはストレス、アルコール分解等で失われやすい。また、体外に排出されやすいので、1日数回に分けて補給すると良い。
ビタミンC ビタミンD
1日の目安
(成人の場合)
5000~20000mg 3000~5000IU(75~125mcg)
多く含む食べ物の例
(100g当たりの含有量)
いちご(62mg)、キウイフルーツ(69mg)、レモン(100mg)、赤ピーマン(170mg)、青ピーマン(76mg)、ブロッコリー(54mg) さけ(22mcg)、うなぎ(18mcg)、くろかじき(36mcg)
備考 野菜や、果物(特にいちごや柑橘系)に多く含まれています。 魚の肝臓や魚全般(特にサケやカジキ、ウナギなど)、干しシイタケ等に多く含まれています。

3. 疲れにくくウイルスに負けない体を作るビタミンB群

  • ビタミンB群はウイルス感染によるストレスを軽減し、脳や神経、皮膚、粘膜などの健康を保つ
  • ビタミンB1は炭水化物、B6はタンパク質からのエネルギー生産に必要であるため、エネルギー不足を防ぎ、疲れにくい身体を作るのに役立つ
  • ビタミンB1は炭水化物の代謝に利用されるため、甘い物やアルコールの摂取量が多い場合は積極的に補給すると良い。
ビタミンB群
1日の目安
(成人の場合)
100mg
多く含む食べ物
(100g当たりの含有量)
ビタミンB1:豚ヒレ肉(0.98mg)、豚もも肉(0.90mg)、たらこ(0.71mg)
ビタミンB2:豚肝臓(3.6mg)、牛肝臓(3.00mg)、どじょう(1.09mg)
ビタミンB3(ナイアシン)たらこ(49.5mg)、豚肝臓(14.0mg)、きのこ類など
ビタミンB5(パントテン酸)鶏肝臓(10.10mg)、豚肝臓(7.19mg)、牛肝臓(6.40mg)
ビタミンB6:みなみまぐろ(1.08mg)、牛肝臓(0.89mg)、種実類など
ビタミンB7(ビオチン)まがれい(23.9mcg)、鶏肝臓(232.4mcg)、卵黄(65.0mcg)
ビタミンB9(葉酸)モロヘイヤ(250mcg)、ブロッコリー(210mcg)、枝豆(320mcg)
ビタミンB12:さんま(17.7mcg)、しじみ(62.4mcg)、牛肝臓(52.8mcg)
備考 ほとんどのビタミンBは豚肉やレバー、魚、種実類などに多く含まれます。葉酸は野菜全般や豆類に多く含まれています。

どれも感染症予防の目的であれば、通常よりも多めに摂取していただきたいビタミン・ミネラルですので、目安量は分子栄養学に基づいた大きめの値になっています。
摂取源となる食物には豚肉やレバー、魚介類などのたんぱく質が多くありますが、このたんぱく質こそが粘膜や白血球を作る材料となりますので、毎日の食事からしっかりと摂りましょう。

食事のみでビタミン、ミネラルを充足させるのは難しいので、積極的に摂取する場合はサプリメントを利用すると良いでしょう。ビタミン・ミネラルはお互いに協力して働きますので、マルチビタミンやマルチミネラルになっている物から摂ると、より利用されやすくなります。

全てを摂るのが難しい場合は、目的に合わせて栄養素を選んでみてください。空気が乾燥していて喉がガラガラしたり、喉から風邪の症状が表れやすい方は粘膜を強化する亜鉛を摂りいれたり、まずは身体の免疫力を上げたいという方はビタミンDを選ぶなど、自分で続けられる物を選んでいただくと良いかと思います。1~3からそれぞれ選んで、粘膜・免疫・抵抗力の三方向から強化するのもいいですね。

身体の調子を整えておくと感染症にかかりにくくなるだけでなく、かかってしまった時にも比較的症状が軽く、回復しやすくなります。栄養をしっかり補給し、ウイルスに負けない冬を過ごしましょう!

カテゴリー: 知っ得!納得!健康トリビア   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク