第57回 血栓症対策のための機能性成分

寒い季節に特に注意したい疾患の一つに、「血栓症」が挙げられます。1月は脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症で亡くなる方が最も多いことから、1月20日は“20=ツマル”で「血栓予防の日」、1月20日~2月19日は「血栓予防月間」として掲げています。そこで今回は、血栓症と血栓症対策のための機能性成分について特集いたします。

血栓とは

血管内で血液が固まる状態のことを言います。その結果、末梢臓器の細胞が死ぬことを梗塞と言い、血栓が詰まる場所により、脳梗塞や心筋梗塞などに分類されます。

現在、日本人の死因の第1位は悪性新生物(約30%)ですが、第2位は心筋梗塞などの心疾患(約16%)、第3位は脳梗塞などの脳血管疾患(約11%)です。つまり、1位のガンに匹敵するほどの人が「血管がつまる・破裂する」ことにより亡くなっているのです。

血栓ができる原因は、血小板の活性化や凝固系成分のフィブリンというタンパク質が増えて血が固まりやすくなってしまうなどの血液成分の変化、血管内皮の炎症や損傷、血液の流れの障害などが挙げられます。

危険因子は、脂質異常症、高血圧、肥満、高血糖、喫煙、体質などです。生活習慣の変化から現代人は血液成分のバランスも乱れ、血栓もできやすく血栓ができても溶けにくい体質になっているそうです。

血栓症の危険因子 1“脂質異常症”

最も身近で危険な要因「脂質異常症」は、血液中にいわゆる悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が多く、善玉(HDL)コレステロールが少ない、つまり“血液ドロドロ”の状態です。

悪玉(LDL)は活性酸素の影響などで酸化LDLになり、酸化LDLが増えるとこれを異物とみなして免疫細胞のひとつであるマクロファージが集まり、血管の内壁にプラークという“おでき”のようなものをつくります。その結果、血管内壁は厚くなり血液の通り道が狭くなってしまいます。

さらにプラークがなんらかの原因で破裂すると、それを修復するために血小板が集まり、かさぶたのようなものをつくって血液の通り道を塞ぐようになります。これをくり返すうちにかさぶたが重なって血栓をつくり、血液の流れを止めてしまうことになります。

そして血液の流れが止まると、心臓や脳の細胞に酸素や栄養が届かなくなり、心筋梗塞や脳梗塞などに繋がってしまうのです。

中性脂肪値が高くなる要因としては、第一に挙げられるのがお菓子や脂肪分、コレステロールの多い食べ物の摂り過ぎ、アルコールの飲み過ぎ、そして食事自体の量が多いこと、運動不足などですので、日頃の食生活が大切です。

血栓症の危険因子 2“高血圧”

高血圧は、傷んだゴムホース(血管)を水道の蛇口につないで、勢いよく水(血液)を流すようなもので、血液が血管に強い圧力でぶつかります。

動脈硬化の状態で内側が狭くなったゴムホース(血管)内で水圧(血圧)がさらに上がると、ゴムホースが破れる可能性があります。

そのため、血管が破れて脳出血をおこしたり、血栓ができて血管が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞を招くため、「血圧」の管理は血栓症の予防にも必須です。

血栓に有効な食品成分

ナットウキナーゼ

名前の通り「納豆」に含まれる成分で、発酵する際に生産されるネバネバ部分のたんぱく質分解酵素です。1980年代にフィブリン(血栓の素となるタンパク質)を溶解する酵素が「ナットウキナーゼ」として命名されました。

ナットウキナーゼは血栓を直接溶かす働きのほか、体内が持つプラスミンやウロキナーゼという線溶酵素を活性化することもわかっています。また、血圧降下作用、血小板凝集抑制作用の他、血流促進作用も認められ、肩こりの緩和も報告されています。

摂取量の目安

血栓を溶かすナットウキナーゼの活性を示す単位を「FU」と表し、摂取量は1日に2000FUが目安として推奨されています。納豆1パック50gには、平均1500FUのナットウキナーゼ活性がありますので、単純に計算すると1日1パック以上が目安となります。

ナットウキナーゼとビタミンK2

食品としての「納豆」には、ひとつ問題点があります。血栓溶解を促す成分「ナットウキナーゼ」が含まれている反面、血液凝固を促進する「ビタミンK2」も含まれています。

ビタミンKは、骨の形成や止血などに役立つ栄養素であるため、血栓症患者などに処方される血液を固まりにくくする医薬品「ワルファリン」を服用されている方は、「ビタミンK2の拮抗作用」により効果が減弱されるため、納豆などのビタミンK2を多く含む食品の摂取は注意が必要です。

ルンブルクスルベルス

ルンブルクスルベルスとは「赤ミミズ」を原料にした成分です。

しかし、その辺の田畑にいるミミズとは違い、宮崎県の(有)輝龍の長年の研究により唯一国の機関に認められた養殖法と特許法によりつくられたものです。ルンブルクスルベルスの粉末(LR末Ⅲ)は、血流促進、血栓溶解の酵素が含まれていることがわかっています。

オメガ3脂肪酸

「オメガ3脂肪酸」は、脳の健康、抗炎症作用などの他「血栓抑制、血管拡張作用」でも知られています。

サラサラ血液とドロドロ血液の違いは、簡単に言うと「赤血球の柔軟性」です。赤血球は細い毛細血管を通るときは形を細長く変形させてすり抜けますが、赤血球の柔軟性が失われて変形能が低くなり、スムーズに通り抜けできないとそこに血栓ができてしまい血栓症をおこします。

オメガ3脂肪酸は赤血球や細胞膜や血管壁を柔らかくする作用がありますので、毛細血管のような細い血管でもスムーズに通り抜ける“サラサラ血液”に役立ちます。

代表的なオメガ3脂肪酸の摂取源

生の青魚(DHA・EPA)、クリルオイル、亜麻仁油(フラックスオイル)、えごま油、クルミなど一部のナッツ類など

硫黄アリル

「たまねぎ」に含まれるアリシンや硫黄アリルは、血栓を溶解したり血行をよくする働きもあり、血小板の凝集を防いで血液をサラサラに保ちます。水にさらすと硫化アリルが流れ出てしまうので、スライスしてもそのまま調理するのがおすすめです。

クエン酸

梅干し、レモンなどに多く含まれる酸っぱい成分「クエン酸」は、疲労回復の他、血液サラサラにも有効な成分です。クエン酸は「酸性」と思われがちですが、優れた「アルカリ食品」で、酸性のドロドロ血液を、弱アルカリ性のサラサラ血液に導きます。

ある日突然襲ってくるかもしれない血栓症に対し、何よりも大切なのが「予防」です。日頃の食事や運動の生活習慣を見直し“きれいな血液”を保つことが大切ですね。

(管理栄養士 奥みゆ貴)

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