新潟大学医学部 医動物・免疫学講座
安保 徹
オリジン生化学研究所
前田 浩明
安保 徹
オリジン生化学研究所
前田 浩明
ふなずし乳酸菌(SU-6)はふなずしに由来する新規乳酸菌L.buchneri SU-6であり、経口投与により腸管免疫に作用することが示唆されている。この度、新潟大学医学部 安保研究室において免疫強化作用を検討する2種類の実験を行い、有効性が認められたので報告する。
実験1. がん細胞接種に対する生存率の向上
- 実験方法
- MICE:C57BL/6J 10週齢♀
細胞種:B16(メラノーマ)、EL-4(リンパ腫)
試料の投与方法と期間:ゾンデを用いてSU-6懸濁液200μl(200mg/kg)を経口投与。対照群には生理食塩水200μl経口投与。がん細胞接種1週間前に投与開始し死亡まで隔日に継続的に投与。
がん細胞接種:B16(1×10^6/mouse)、EL-4(5×10^5/mouse)を尾静脈内に接種。 - 結果
- B16、EL-4の生存率を図1、図2に示す。明確な差ではないが、いずれも対照群に対する生存日数の延長が認められた。
図1 B16接種図2 EL-4接種
実験2. 病原菌感染に対する抵抗性
- 実験方法
- MICE:C57BL/6J 12週齢 ♂、♀
病原菌:マラリア
試料の投与方法と期間:ゾンデを用いてSU-6懸濁液200μl(200mg/kg)を経口投与。対照群には生理食塩水200μl経口投与。マラリア菌接種1週間前から投与開始し♀は26日間、♂は24日間、隔日に継続的に投与。
病原菌感染:マラリア感染赤血球(1×10^4/mouse)を腹腔内に接種。 - 結果
- ♀、♂の感染曲線を図3、図4に示す。いずれもSU-6投与による感染抵抗性が認められた。感染ピークは♀、♂いずれも18日目であり、感染率はそれぞれ♀約30%、♂約20%であったが、SU-6投与群では♀、♂いずれも低い感染率で推移した。感染抵抗性は雌雄間では♀群の方が明らかであった。
図3 マラリア感染 ♀図4 マラリア感染 ♂
考察
ふなずし乳酸菌SU-6の免疫強化作用を発癌抵抗性と感染抵抗性で検討した。その作用はマイルドではあるが、いずれの実験系においても効果が認められた。通常、SU-6のような機能性食品は生体機能を介する間接的作用であり、今回の実験のような急性発症モデルに対する作用としては、この程度の効果は評価できると考える。これらの結果が腸管免疫に対する直接的関与か腸内フローラの改善による間接的作用によるものか、今後の研究が期待される。