第32回 実践!【合言葉は「ビタ・ミネ・酵素」】~基礎栄養の大切さを見直そう~

2011年4月更新

皆様こんにちは。今回の特集はズバリ「基礎栄養」です。ビタミンやミネラル、酵素といった、私たちの健康の基礎となる栄養素を見直して、毎日の健康習慣に役立てようという目的です。
さて現在、福島原発事故による低濃度放射能汚染は日本全体の大きな心配事になっています。これに対する栄養療法としてまず第一に大切なことは、ビタミンCをはじめとする「効酸化栄養素」を十分に摂ること。人間はもともと、活性酸素を消去する酵素(SODなど)を持っておりますが、そのレベルには限界があります。ですから、加えて「抗酸化栄養素」を十分に補ってあげれば、放射線を被ることで体内で発生する「活性酸素」を効率的に抑えることができ、それだけ防御力が高まるのです。しかし、抗酸化栄養素が必要なのは「この状況」に限った話ではございません

もともと活性酸素というものは、放射線だけでなくストレスや強い紫外線、喫煙、大量飲酒、食品添加物、農薬、環境ホルモンなどによっても体内で大量発生します。そして、DNAを傷つけ、細胞を老化させ、それによって様々な不調を引き起こします。研究によると、病気の約9割はこの活性酸素が原因とも言われている位なのです。ですから、「抗酸化栄養素」は非常時だから必要なのではなく、毎日の私たちの健康を支える、大切な<基礎栄養>であるということをご理解ください。
このように、【ビタミン、ミネラル、酵素】といった基礎栄養素は、私たちの最低限の健康の土台となるものたちです。今回はこれらの基本的な知識を押さえていただき、毎日の生活にお役立ていただけたら幸いです。では参りましょう。

【三大栄養素と新三大栄養素】

湯気のたったご飯とみそ汁の写真まず、体に必要とされている基本栄養素は、炭水化物、脂肪、たんぱく質の3つです。それぞれ、

 ・炭水化物  60%
 ・脂肪     25%
 ・たんぱく質 15% 

の割合で摂ることが理想とされます。
これら三大栄養素は体を構成する基本成分であると同時に、活動するためのエネルギーとなります。そして、その上でなくてはならないのが、ビタミン、ミネラル、酵素の「新三大栄養素」です。どれも生命維持に欠かせないもので、体が本当に必要としているものですが、現代の食生活において慢性的、かつ絶対的に不足しているものです。これらは、もともと自然界の食品に含まれている栄養素や物質です。しかし、インスタント食品やレトルト食品、スナック菓子など現代生活でよく食する加工食品となるプロセスで、その大半が失われてしまうのです。

また、主食のご飯も、ビタミンB群やマグネシウムが豊富に含まれている糖や胚芽を取った白米になってしまっているので、これらの栄養素をとる機会は減ってきているといえます。ビタミン、ミネラル、酵素はそれぞれ代謝を助けたり、生命維持に関わったり身体の恒常性を保つのに欠かせない働きをしています。現代は昔のように、食べ物不足によってビタミン・ミネラル・酵素 新三大栄養素栄養失調になることはまずあり得ませんが、食習慣や生活習慣、ストレスなどを原因とするビタミン・ミネラル・酵素不足によって様々な健康上の不具合が出てきているのが現状です。ですから、まず不足した「新三大栄養素」を適切に補給するという考え方が現代の健康管理のベースとなります。
 
では順に見ていきましょう。

←ビタミン・ミネラル・酵素を体内で上手に機能させるには、三大栄養素である炭水化物・脂肪・たんぱく質の土台が大切になってきます。

【ビタミン(Vitamin)】

「ビタミン」とは、体の代謝を手伝い、体内酵素の働きを補う有機物の総称をいいます。
ほとんど体内では生産できないので、食品から摂取します。ビタミンは1日の必要な摂取量はごくわずかですが、不足すると様々な欠乏症をひきおこしてしまうほど、私たちの身体には無くてはならないものです。「日本人の食事摂取基準」において正式に定められているビタミンは、脂溶性と水溶性をあわせて、以下の13種類があります。それぞれ代表的な働きを挙げてみます。

 <水溶性ビタミン> 全9種類

 ビタミンB1・・・糖質をエネルギーに変える働き 
 ビタミンB2・・・皮膚や粘膜の健康維持
 ビタミンB6・・・アミノ酸の代謝、神経伝達を助ける
 ビタミンB12・・・赤血球をつくる働き(貧血を予防する)
 ◇ナイアシン・・・糖質、脂質、タンパク質の代謝を助ける
 パントテン酸・・・糖質や脂質の代謝を助ける
 葉酸・・・赤血球をつくる働き
 ビオチン・・・糖質をエネルギーに変える働き
 ビタミンC・・・コラーゲンの合成、抗酸化作用

 <脂溶性ビタミン> 全4種類

ビタミンA・・・皮膚や粘膜の健康維持、抗酸化作用
 ビタミンD・・・カルシウムの吸収を助ける 
 ビタミンE・・・抗酸化作用、細胞膜の形成を助ける
 ビタミンK・・・血液凝固作用

                                (日本人の食事摂取基準2010年度版より)

ビタミンは微量栄養素といわれ、単位にすると、ミリグラム(1gの1000分の1)やマイクログラム(1mgの1000分の1)という微量なのにも関わらず、不足すると身体に弊害をもたらすという、凄い力を秘めています。また、どれか一つを集中して摂ればよいわけでなく、様々な代謝の働きを担っている以上、13種類のビタミンをまんべんなく取り入れる必要があります。
一日単位の必要摂取量やそれぞれ不足するとあらわれる症状については、以下にまとめましたのであわせてご覧下さい。

『望ましいビタミンの摂り方』について詳しくはこちらをご覧下さい

【ミネラル(Mineral)】

「ミネラル」は、生命維持に不可欠な生理機能をもつ金属(鉱物)の総称をいいます。
人間はミネラルなしでは生存できず、体内で作れないため食品・飲料などから摂取します。人の体を元素にまで分解してみると、まず炭素(C)・水素(H)・酸素(O)・窒素(N)の4つで全体の約96%ができていて、ミネラルは残りの4%にあたります。実は、ビタミンはミネラルがないと身体に吸収されることも、機能を果たすことも出来ません。

そして、

◎ビタミンも最小単位まで切り離せば元素やミネラルになる (たくさんの種類のミネラルで構成されています)
◎ビタミンを活性させるためにミネラルが必要である場合が多い
◎体内の酵素や抗酸化栄養素の構成要素にミネラルが欠かせない

 このように、たった4%のミネラルですが、実はビタミン以上に重要だといわれます。現代人のミネラル不足は特に深刻なため、健康生活にとって重要なカギとなる栄養素なのです。ミネラルもビタミン同様、以下の全13種類です。大きく分けると、1日の必要量が100mg以上のものを「多量ミネラル」といい、それ以下のものを「微量ミネラル」と呼んでいます。では、それぞれ代表的な働きを挙げてみましょう。

 【多量ミネラル】1日の必要量が100mg以上 

ナトリウム・・・細胞浸透圧の調整、体内をアルカリ性に保つ
 ◇カリウム・・・細胞浸透圧の調整、エネルギー代謝、高血圧を抑制、セシウム取込みを抑制
 ◇カルシウム・・・骨や歯の成分、精神安定
 ◇マグネシウム・・体温や血圧の調節、エネルギー代謝、筋肉の硬直を抑制
 ◇リン・・・骨や歯の成分、エネルギー代謝
 (リンとナトリウムは現代人にとっては過剰であることがほとんどです)

 【微量ミネラル】1日の必要量が100mgより少ない

・・・・酸素の運搬、赤血球をつくる
 ◆亜鉛・・たんぱく質の合成、免疫、抗酸化作用
 ◆・・・・血管の代謝、造血をたすける
 ◆マンガン・・骨や歯の成分、炭水化物と脂質の代謝
 ◆ヨウ素・・・甲状腺ホルモンの成分となる
 ◆セレン・・・抗酸化、解毒作用
 ◆クロム・・・糖や脂肪の代謝
 ◆モリブデン・・尿酸の代謝を助ける(通風予防)

                               (日本人の食事摂取基準2010年度版より)

ミネラルの摂取量は多すぎても、また逆に少なすぎても好ましくありません。多すぎれば「過剰症」が、少なすぎれば「欠乏症」が懸念されます。また、それぞれがお互いに協力しあって働いているため、「摂取バランス」がとても大切です。代表的な理想のミネラルの摂取バランスを挙げてみますと、

「カルシウム:リン」 ⇒ 1:1~1:2
「カルシウム:マグネシウム」 ⇒ 1:1~2:1
「ナトリウム:カリウム」 ⇒ 1:1
「亜鉛:銅」 ⇒ 8:1 ~10:1

 ・・・などになります。一日単位の必要摂取量やそれぞれ不足するとあらわれる症状については、以下にまとめましたので是非ご覧下さい。

『望ましいミネラルの摂り方』について詳しくはこちらをご覧下さい

【酵素(Enzyme)】

さて、新三大栄養素の最後を飾るのは「酵素」です。酵素は「生物の体内の化学反応に対しての触媒」として働いています。あらゆる生命活動の「手助け役」としてお考え下さい。消化、吸収、代謝、排泄、呼吸・・といった生命維持機能はもちろん、普段何気なくしている、まばたき・くしゃみ等も酵素が関わっていて、体内の酵素が枯渇すると、あらゆる生命が生きていけないといわれるほど大切なものです。 酵素は分かっているだけも約4000種類あり、先に挙げたビタミンやミネラルはこの酵素の働きを助ける(補酵素)として存在しています。

体内の酵素は大きく分けて次の2つです。

1.消化酵素…消化器官の中で食べたものを分解し吸収しやすくします。
2.代謝酵素…吸収した栄養素や、ビタミン・ミネラルと協力しあって、内臓・血液・骨格ほか細胞の新陳代謝を司っています。

私たちになじみの深いものとしては、

◎アミラーゼ・・唾液に含まれ、でんぷんをブドウ糖に分解(⇒エネルギーになる)
◎プロテアーゼ・・たんぱく質をアミノ酸に分解(⇒筋肉をつくる)
◎リパーゼ・・脂肪を脂肪酸に分解(⇒エネルギーになる、局所ホルモンの原料を作る)

などが挙げられますが、これらの化酵素は加齢による分泌の低下や、高たんぱく・高脂肪といった欧米型の食習慣により大量に消費され、体に負担をかけているのが実情です。

もともと、伝統的な日本食には酵素がたっぷり含まれています。なぜなら消化酵素は、生の食材や発酵食品に豊富に含まれているからです。(酵素は熱に弱く、46℃で全て死滅してしまうため)
魚など加熱せずに生で食べますし、他にも納豆や漬物などの発酵食品や、海藻、豆類、生野菜・・などなど、私たちの馴染み深い食品にはたっぷり酵素が含まれています。反対に、酵素が全く含まれていない加工食品や、高たんぱく・高脂肪の食事ばかりを続けていると胃やすい臓は、食べ物を分解するために過剰に消化酵素を造らなければなりません。行き過ぎるとすい炎や胃腸炎のようなトラブルを招きます。そして、消化しきれず腸に残留すると、悪玉菌を増やし、解毒や排泄機能、免疫力がじわじわと低下してしまいます。しかし、これらの食品から酵素を補うことができれば、胃腸やすい臓には余裕が生まれ、来の代謝活動にパワーを注げるわけなのです。

人間が一生のうちに使える酵素は限られており(潜在酵素)、消化活動にばかり使っていると、肝心の代謝活動にまで回らなくなります。したがって、積極的に食べ物から酵素を補い(食物酵素)、体内酵素を節約することが大切です。

【合言葉は『ビタ・ミネ・酵素』です】

さて、3つの基礎栄養素を駆け足で説明してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?私たちの身体を機械にたとえるならば、ビタミン・ミネラル、そして酵素は各部品をスムーズに働かせる潤滑油のようなもの。不足すると、故障の原因になってしまいますよね。なんとなく身体がだるい、疲れがとれない、肌荒れがひどい・・・と、「特定の病気を患っているわけではないが、いつも調子が悪い」という方は、これらの基礎栄養が足りていない証拠です。そして、以下に当てはまる方は要注意です。

注意!<こんな生活習慣が、ビタ・ミネ・酵素を不足させる>

 ・加工食品やインスタント食品の食べすぎ
 ・よく噛まないで食べる
 ・お酒の飲みすぎ
 ・喫煙
 ・睡眠不足 
 ・食品添加物の過多 
 ・過剰なストレス 
 ・白米、白砂糖、植物油など精製された食品の過多
 and more..

笑う家族の写真体内のビタミン、ミネラル、酵素ともに、このような生活習慣で大量に消費されてしまいます。ただでさえ、農作物に含まれる「ビタ・ミネ・酵素」の量も、化学肥料や農薬の使用によって昔に比べて減ってしまっている上に、不規則な食事やストレスフルな生活を送っていたら、慢性的に栄養不足になるのも当然です。

私たちの身体は食べたもので作られています。まずは規則正しい生活習慣を心がけた上で、健康の土台となる基礎栄養を食事やサプリメント等で補うようにしましょう。元気ハツラツな毎日のための合言葉は、「ビタ・ミネ・酵素」です!

カテゴリー: 知っ得!納得!健康トリビア   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク