2011年2月更新
皆様こんにちは。いよいよ花粉本番の季節がやってまいりました。気象予報によると、今年の花粉は去年の10倍の飛散量だとか・・。それは悲惨!ってシャレを言っている場合ではございません(笑)。今や花粉症は「国民病」と呼ばれ、日本人の5人に1人、約2400万人もの人々が、毎年この季節になると、ひどい鼻水やくしゃみ、痒みといった症状に悩まされます。毎年、毎年、春が来るのが憂鬱…。という皆様も多いのではないでしょうか?そこで、今回のテーマは、薬に頼る前に絶対覚えておきたい「花粉症対策」に迫ります。ひどい症状にお困りの方がすこしでも楽になりますように、日ごろ簡単に出来る花粉症対策をお届けします。そして、今年こそ花粉症になるかも!?と戦々恐々としている皆様も、必見ですよ!
花粉症の発症のメカニズム
まずは、正しく敵を知ることからはじめましょう。
花粉症はスギやヒノキなどの花粉が原因となるⅠ型アレルギー疾患のこと。私たちの体は、花粉という異物(アレルゲン)が侵入すると、まずそれを受け入れるかどうかを考えます。排除しようと判断した場合、体は異物に対し抗体(IgE抗体)を作り花粉をできる限り体外に出そうとします。花粉が飛んでくると、鼻や眼の粘膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合し、ヒスタミンなどの化学物質が分泌されて、くしゃみや、鼻水、涙で外に出そうと過剰なアレルギー反応を起こします。
今までなんでもなかった人もアレルゲンのもとが体内に蓄積し、IgE抗体が一定量を超えてしまうと、突然、花粉症に罹ります。そう、花粉症はある日突然やってくるのです。
花粉症が年々増加する訳
それでは何故、花粉症が現代病といわれ、近年になって増大しているのでしょうか?一つは、戦後の昭和20年代からの国の政策により、スギやヒノキの植林事業が盛んに行われ、そのスギが生長し、現代になって大量の花粉を飛ばしているという事実があります。しかし、一方で私たち現代人がアレルギー体質になっているということが否めません。
例えば、アレルギー体質を引き起こす主なものとして、
◆環境の変化・・車の排気ガスによる大気汚染、環境ホルモンの増加
◆食生活の変化・・・食の欧米化にともなって、高たんぱく、高脂肪の食事や、菓子類、ファストフードの食べすぎ
◆住環境の変化・・・ダニやハウスダストの増加、シックスハウス症侯群
などが挙げられます。これららの要因により、知らない間に炎症を起こしやすくなったり、免疫バランスが崩れたり、ということが起こっています。
いくら杉の木の量が多いといっても、一本一本抜いてまわる訳には行きませんよね?
そして、これらの原因を踏まえると、まず私たちができる花粉症対策は、主に偏った食生活を見直し、アレルギー体質(高炎症体質)を治していくことに他なりません。
【花粉症の薬は程ほどに】
花粉症の治療薬といえば、炎症を抑える抗ヒスタミン剤やステロイド剤が一般的です。これらは一時的な効果が高い反面、眠気や口の渇き、倦怠感などの副作用があります。強い抗ヒスタミン剤はお酒を飲んだのと同じ脳の状態になり、集中力や判断力が低下することが分かっています。車の運転や大事な会議など、薬を飲まれるときは十分に注意してくださいね!
花粉バイバイ栄養法 ~薬に頼る前に出来ること~
ここからが、本題です。繰り返しますが、私たちが気をつけ、実践しなければならないのは日ごろの食生活です。根本治療を目指すなら、アレルギー体質の改善、そして、免疫バランスの正常化なのです。では、栄養学の観点から花粉症予防、症状緩和にいて考えていきましょう。
3つのポイント
1.油もの(揚げ物、脂っこい食事、ファストフード、スナック菓子など)を控える
まずはじめに最も重要な点が、油の摂り方です。特にくしゃみ、鼻づまり、痒みといった症状がひどい方は、即効性が高いので是非実践してください。その方法は、いたって簡単です。
「油ものを控える」
揚げ物や、脂っこい食事のほとんどにオメガ6系の油が使用されています。代表的なものに、べにばな油、コーン油、ごま油、サラダ油、マヨネーズが挙げられます。オメガ6系の油とは不飽和脂肪酸の一種で、身体に欠かせない栄養素の一つなのですが、同時にこれらの油はアレルギー促進作用や炎症促進作用があります。つまり食の欧米化が進んだことにより、オメガ6過多の食生活がアレルギー体質を引き起こし、花粉症やアトピー性皮膚炎などの増加の原因になっていることは否めません。
因みに、オメガ6必須脂肪酸が体内で変化した後にできる「アラキドン酸」は、花粉症の諸症状を引き起こす原因物質であるヒスタミンよりも強い炎症作用があるともいわれています。恐ろしいですよね!ですから日ごろの食生活を変えるだけでも、症状はずっと和らぐのです。
「オメガ3系の油を摂る」
反対に炎症を抑える作用のある、亜麻仁油、えごま油、チアシードオイル、青背の魚の油に代表される、オメガ3系の油を積極的に摂るようにしましょう。オメガ3必須脂肪酸は現代人が最も不足している栄養素の一つです。花粉症に限らず、その摂取不足がさまざまな疾患の原因の一つとも言われていますので、意識して食生活に取り入れたいものです。
⇒【理想的な油(脂質)の摂り方】に関して詳しくはこちらをご覧下さい。
2. 腸内環境を調える
次に、免疫の過剰防衛反応である花粉症には、免疫系のバランスを調整してあげることがとても大切です。そのためには腸の健康が欠かせません。なぜなら、全身のリンパ球(免疫細胞)の約60%は腸で働き、そして抗体の60%も腸で作られているからです。腸内には約100種類、100兆個もの細菌がすみついていますが、ビフィズス菌に代表される健康によい働きをする善玉菌と、健康に有害な働きをする悪玉菌が絶えず勢力争いを行っており、そのバランスによって健康状態も大きく左右されます。つまり、腸内環境を調えることとは、『善玉菌が多い腸内環境』にする、ということなのです。その環境を作り出す代表選手が、皆様良くご存知の乳酸菌です。乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし整腸作用があることはよく知られていますが、最近では、コレステロール値低下作用や抗腫瘍効果、免疫活性、アレルギー抑制、ピロリ菌抑制など、さまざまな働きが科学的に確認されています。
(⇒ふなずし由来乳酸菌の抗アレルギー作用についての論文はこちら)
次に上げるものは、私たちに身近な食品でどれも腸をきれいにするものですから、是非積極的に食卓に取り入れてくださいね。
積極的に摂りたい、腸内環境を調える食べ物
◎納豆やキムチ、味噌などの発酵食品・・・【ビフィズス菌や乳酸菌】
◎玉ねぎ・キャベツ・アスパラガス等などの野菜、大豆やバナナ・・・【オリゴ糖】
◎長いもやオクラ、こんにゃく、海藻類などヌルヌル食品・・・【水溶性食物繊維】
◎野菜・・・【食物繊維】
3. ビタミンミネラルをしっかり摂る
代表的な栄養素として、ビタミンB6・亜鉛は免疫機能を正常に保つのに役立ち、ビタミンA・Cは皮膚や粘膜の健康を維持し、アレルギー症状を抑えるのに役立ちます。
また、活性酸素はヒスタミンを作り出してアレルギーを引き起こすと言われていますので、野菜や果物に含まれるポリフェノール類など抗酸化作用のある成分を摂ることも大切です。
⇒花粉症対策に有効な【ビタミンミネラル栄養療法】はこちらをご参照ください。
⇒具体的な花粉症対策レシピは「管理栄養士のスマイルレシピ」をご参考ください。
さて、いかがでしたでしょうか?どれも簡単に実践できるものばかりだと思いませんか?
このように見ていくと、花粉症対策をきっかけに食生活を見直すことで、アレルギー体質の改善や免疫バランスの改善などにつながり、病気に負けない身体づくりが出来ることになります。体質というものは、知らずのうちに積み上げてきたものですから、根気強く習慣を見直すことが大切ですね。
皆様のムズムズ、グシュシュが少しでも和らぎ、楽しい春を満喫していただければ幸いです。以上、花粉バイバイ栄養法でした!