第22回 腸内環境問題に取り組もう!~腸能力を開花させるために~

2009年8月更新分

皆様、こんにちは。暑い毎日が続いておりますが如何お過ごしでしょうか。ジリジリと厳しい暑さの中、クーラーのきいた室内で冷たいものをいただくのが至福のひととき・・・。
しかし、私たちの気持ちとはウラハラに、冷たいものを食べる度にとっても寒がりな臓器が悲鳴を上げています。夏が終わるころにはクタクタ。体調を崩すのも無理はありません。さて、冷えに弱い臓器が一体どこなのか・・・。今回のタイトルをご覧頂ければ一目瞭然ですね!腸をいたわり夏の疲れを吹き飛ばしたら、次は豊かな実りの秋が待っていますよ。

腸はどんな仕事をしているの?

The digestive systemの写真早速ですが、「腸」がどんな働きをしているかご存知でしょうか?
パッと思い浮かぶのが「便秘」とか「下痢」とか便に関することではないかと思います。
≪食べ物の最終的な消化を行い栄養分を吸収して全身に送る≫というのが一般的な認識ですし、腸が排泄をきちんとしてくれないと、毒素が体中に回って大変です。腸の仕事は他にも、ビタミンやホルモンを合成して作リ出したり、中性脂肪やコレステロールの代謝を促すなど、健康状態に大きく影響しています。その重要性に気づかず、暑いからと冷たいものばかり食べ、酷使していると便秘や下痢などの便通異常だけでなく自律神経やホルモンバランス、免疫機能と幅広く色々な部分で弊害が起こる可能性があります。腸はあらゆる器官と繋がっており、その影響力たるや絶大なのです。

【腸すごい!内臓進化のひみつ】

腸のすごさは、臓器の進化を辿るとよく分かります。とっても大切な「内臓」や「脳」などの重要組織は【すべて腸から発達した】のです。さて、一体どういうこうとでしょうか?はるか何億年も前の原始的な生物だけの頃までさかのぼりましょう。多細胞動物の主要な器官は、腸と口と触角だけ。触角で食物を探し、口から取り込み、腸で送り込んで消化し、口から排泄するという、極めて簡単な機能でした。やがて、進化とともに腸のまわりに神経組織が張り巡らされ、肝臓、すい臓、腎臓そして脳が作られていきました。つまり、「腸」が進化したその先に「脳」が出来たのです。
腸が一番最初だったというのがすごいですよね。このように「腸」は「脳」ができる前から存在しており、特に小腸はもっとも原始的な臓器であることから賢く、脳の指令がなくともさまざまな状況に対応できることが分かっています。
アメリカの神経生理学者のマイケル・D・ガーション医学博士の「腸は第二の脳である」という発表により、脳と同じように精巧な自律的神経回路を持ち、情報を伝達する働きに大きく注目を集めることとなりました。腸は脳以外に唯一、独自の自律的神経回路をもつため、腸の状態はあらゆる器官に連鎖するのです。では、腸の機能を良くするにはどうすれば良いのでしょうか?

【腸内環境を整えるってどうすればいいの?】

腸内には約100種類、100兆個もの細菌がすみついていますが、腸内ではビフィズス菌に代Lactobacillus bacteria, SEMの写真表される健康によい働きをする善玉菌と、健康に有害な働きをする悪玉菌が絶えず勢力争いを行っており、そのバランスによって健康状態も左右されます。ちなみに健康な腸の条件は、腸の中に住む【善玉菌】【悪玉菌】【中間菌】が、善玉菌優位の理想的なバランスで活発に働いていることです。
理想的なバランスと言ってもなんだかとっても曖昧で、自分の腸がどうなっているかサッパリ分かりません。しかし、現代人で理想的なバランスを保っている人はごくわずか。腸はストレスにもっとも弱い器官でもあります。事実、ストレス社会の現代人は便通異常が急増しており、子どもまでもが下痢や便秘で悩んでいます。こうした現象から考えても、善玉菌優位なバランスには程遠いといえますね。

【最近よく聞く、プロバイオティクスとは?】

「おなかの健康」「腸内環境を整える」といえば、【プロバイオティクス】という言葉をよく耳にするかと思います。本来は「善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを保ち、病気になりにくい体を作る予防医学」のことをいいましたが、今は腸内環境を元気にする生きた微生物を【プロバイオティクス】と呼ぶようです。皆様がよくご存知の乳酸菌やビフィズス菌が【プロバイオティクス】の代表選手です。これらは腸内の善玉菌を増やし整腸効果があることはよく知られていますが、最近では、コレステロール値低下作用や抗腫瘍効果、免疫活性、アトピー抑制、ピロリ菌抑制など、さまざまな働きが科学的に確認されています。

こうしてお話すると、なんだか21世紀の健康革命児のようですが、本来、日本食はプロバイオティクスの宝庫なのです。食の欧米化により、口にすることが少なくなった「和食」。日本の伝統食品であるみそ、しょうゆ、漬物などこれらはすべて乳酸菌を含みます。ちなみにぬか漬けの「ぬか」には1グラム中に1億個以上の乳酸菌がいるといわれているんですよ。伝統食の大切さを見直す必要がありそうですね。

【日頃からできる腸にいいこと】

女性ウエストの写真・クーラーや冷たい食べもので体を冷やさない。
・夏休みでも夜はきちんと寝る。寝る2時間前は食べるのを控える。
・ストレスは腸の大敵。腸は精神状態に左右されるので毎日楽しく過ごせる工夫をする。
・腸内環境を悪化させる「動物性タンパク質」「過剰な糖分」「精製食品」などは控える。
・色の濃い野菜や果物、食物繊維をしっかりとる。
・酵素の豊富な発酵食品や火を通していない生の食べ物を食べる。
・良質の水分をたっぷりとる。(食前は飲みすぎないように注意しましょう)

などなど、日頃から腸の健康に役立つことは色々とありますね。是非参考にして下さい。

「小腸」にほとんど病気がないことをご存知ですか?最も原始的な臓器は長い生命の歴史の中で生命存続のために賢く強靭になり、正確に働くことで進化しました。そしてその一級品の器官を平等に受け継いでいます。腸の神経系は食道から胃、小腸、大腸に至るまでの全ての消化に関わっています。難しい話はさておき「あらゆる病気の予防」のためにも、「腸の健康は超大事!」と覚えておいてくださいね。

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