第30回 実践!冷え性対策 身体ぽかぽか健康法~計るのは体重より体温!~

2010年12月更新

皆様こんにちは。2010年も残すところあとわずかとなりましたね。年の瀬を迎え、気温もぐっと下がり、この冬はじめて風邪を引いてしまったという声が聞こえてきます。読者の皆様は寒さ対策は万全ですか?
「靴下を何枚も履いても寒くて眠れない・・・」
このような冷え性の方にはつらい本格的な冬の始まりです。今や冷え性は男女問わずお悩みの方が増えています。【冷えは万病の元】というように、体温の低下が生じると体の全細胞・臓器の代謝が悪くなり、血液の流れが滞り、様々な病気を引き起こす大きな原因の一つになります。そこで、今年最後を締めくくる健康トリビアとして、「冷え性対策」に迫ってみましょう。

「冷え性とは」冷え性-女性の写真
一般的に手足やお腹、腰などに「冷え」を感じる状態を冷え性といいます。外気の暑さ寒さに関わらず、冷えを感じるのは女性に多く、「お血(おけつ)」と呼ばれる血液循環の悪化からきています。「冷え性」は病気とは認肩こり-男性の写真められていませんが、漢方では子宮筋腫や月経痛、不妊、腰痛などの原因になると考えられています。

冷えが引き起こす代表的な症状として、肩こり・頭痛・腰痛・めまい・耳鳴り・動悸、息切れなどが挙げられます。放置しておくと、炎症や動脈硬化を促し、心筋梗塞や脳梗塞、がんといった深刻な病気に進みかねません。

「冷えの原因」
それでは、次に冷えの原因について迫ってみましょう。
私たちはもともと身体の環境を快適な状態に保つ機能(生体の恒常性維持機能)が備わっているにも関わらず、知らず知らずのうちに身体を冷やす生活習慣を送ることによって、現代人は総じて「低体温症候群」であるといえます。

身体を冷やす6つの原因
1. 筋肉不足(特に下半身)による冷え
2. 冷房の影響や夏型の暮らしによる冷え
3. 高ストレスによる血行不良による冷え
4. 入浴法が悪いために起こる冷え
5. 食事の選び方や摂り方が悪いためによる冷え
6. 化学薬品の飲みすぎによる冷え

いかがですか?一つでも当てはまるという方は要注意です。しかし、上に挙げた6つに気をつけるだけでも「ぽかぽか体質」に近づくということですね。

「体温と免疫力の関係」
身体を温めることと健康はとても大きな関係があります。なぜならば、体温が1℃下がると免疫力は約37%下がり、逆に1℃上がると免疫力は約60%も活性化するといわれます。私たちの体は、36.5℃〜37℃の体温で最も良く働くようにできていて、常に体を温めることを守っていると、免疫力が高い状態を維持できるということですよね。すると、病気にもなりにくい身体を身につけることができるようになります。つまり体を温めることは健康の基本なのです。

冷え性対策に、身体ぽかぽか健康法

それでは、これまで述べてきたことを押さえた上で、実践的な方法を解説します。

【日ごろの冷え性対策】として
対策1
.運動を心がける ・・・・日ごろなるべく階段を使うなど、適度な運動で筋肉をつけ基礎代謝をあげる。
対策2.ゆっくり入浴する ・・・・シャワーだけは低体温の原因に。胸から下だけ湯船につかる「半身浴」も効果的です。
対策3.薄着をしない・・・・急な冷え込み対策に、一枚多く持ち歩きましょう。
対策4.体をあたためるものを積極的に食べる・・・・いわゆる「陽性食品」を多く摂りましょう。(生姜、ニンニク、ねぎ、根菜類など冬が旬のもの、北方産のもの、赤ワイン・日本酒・紹興酒・焼酎お湯割りなど)

ここでは、まず基本となる毎日の食事と入浴についてクローズアップしてみましょう。

食事について・・・
冷え性の改善のためには、身体の外側のケアももちろん大切ですが、まず身体を温める食べ物を積極的に摂って、身体の内側から冷え性を改善していきましょう。「管理栄養士のスマイルレシピ」で身体を温めるレシピを紹介していますので、合わせてご覧下さいね。

東洋医学では、食品は身体を温める食品(陽性食品)と身体を冷やす食品(陰性食品)に大きく分けられています。

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【陽性食品】・・・主に寒いところで採れるもの
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きんぴら炒めの写真陽性食品は、寒い地方で採れるものや、冬に採れる食べ物が多いのが特徴です。
野菜でいえば、にんじん、ごぼうなどの根菜類やネギ、ニラなど。特に、トウガラシやにんにく、生姜などの香辛料は効果的です。
その他、チーズや納豆、味噌、天然塩、赤ワインや日本酒なども陽性食品にあたります。

また、肉類や卵にも身体を温める作用がありますが、同時に血液をドロドロにしやすいという働きもありますので、摂りすぎには注意が必要です。これらの陽性食品を日常的に摂り入れることで、冷え性の改善につながります。

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【陰性食品】・・・主に暖かいところで採れるもの
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イチゴケーキの写真陰性食品は、暖かい地方で採れるものや、夏に採れる食べ物が多いのが特徴です。
トマトやきゅうり、ナスなどの夏野菜、スイカやメロン、バナナなど。
また、精製された白米やパン、白砂糖、豆腐、牛乳、バター、ビール、加工食品(食品添加物)なども陰性食品にあたります。

※この中でも、冷え性の方に特に覚えておいていただきたいことは「砂糖(白砂糖)」は身体を冷やすということです。砂糖の原料はサトウキビです。サトウキビといえば、沖縄が有名な産地ですよね。やはり、砂糖も暑い地域で採れる食品のひとつなのです。

これらの陰性食品の中でも、特に砂糖やスナック菓子、加工食品(食品添加物)などは身体を冷やすだけではなく、血液をドロドロにしてしまう働きがありますので、ますます冷えを悪化させます。寒い冬にはチョコレートやケーキなど甘いものが食べたくなりますが、摂りすぎには注意しましょう。

ここまで陰性食品をいくつかあげてみましたが、日常、私たちが手軽に食べられるものがほとんどであることにお気づきでしょうか。現代人は陰性食品を多く摂取していることで、常に身体が冷えやすい傾向にあるんですね。

身の周りの多くの食べ物が陰性食品ですので、食べないようにすることはなかなか難しいのが実際です。そのため、冷え性の方は意識して毎日の食事に陽性食を摂り入れることが大切になります。

「体を温める食べ物選び」7つの基本
①北方産のもの・
・塩シャケ、リンゴ、サクランボ、ブドウ、プルーンなど
②硬いもの・・黒砂糖、チーズ、乾燥果物、せんべい、漬物など
③暖色(赤・黒・黄・橙)のもの・・・赤みの肉、卵、タクアン、小豆、黒豆など
④塩分の多いもの・・・塩、味噌、醤油など
⑤昔からの主食・・玄米、トウモロコシ、イモ類、大豆、アワ、キビ、ヒエ
⑥日本酒、赤ワイン、紹興酒
⑦熱を加える、発酵させる、塩を加える

生活習慣について・・入浴編
次に、ぽかぽか食材で温めた身体を冷やさないようにする生活習慣を身につけたいものです。日常生活のなかで、一番簡単に身体を温める方法といえば、やはり「入浴」ではないでしょうか。まず、大前提として次のことをお守りください。

『シャワーで済ますのではなく、しっかり湯船につかること。』

しっかり湯船につかるほうが、身体を温める度合いが高いことは言うまでもありませんよね。基本を押さえたうえで、ぽかぽか体質を維持する『オススメ入浴法』をご紹介いたしましょう。

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半身浴健康法
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半身浴-お風呂-女性の写真
半身浴とは、湯船の中に小さいイスか洗面器をさかさまに置き、そこに腰掛けて、みぞおちより下の部分を湯につけて入浴する方法です。この方法は、下半身、特に腎臓を含めた腰から下の血流を良くします。その結果、排尿を促し、余計な水分を取って身体全体を温める効果が高まります。
少し長め(20~30分)の半身浴を行うと、驚くほどの発汗があり、デトックス効果と代謝が高まります。また、半身浴は肩までつかる全身浴に比べて肺や心臓への負担が軽くなるため呼吸器や循環器疾患がある方にもお勧めいたします。

※冬場に行う注意点として、お風呂場を十分に暖めて行うか、軽く全身浴をしてから行う、乾いたバスタオルを方に肩にかけて行うなど寒くないように工夫されてみてください。

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手浴、足浴 Woman soaking her feetの写真
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洗面器に42℃くらいのお湯をはり、「手首から先」または「両足首より下」をお湯に浸けて10分~15分過ごしてください。ぬるくなったら熱い湯を継ぎ足してください。

手浴の効果・・主にヒジや肩に滞った血液の流れをよくし、肩こり、ヒジの痛みなどに効きます。
足浴の効果・・下半身の血流が良くなり、その結果全身の血行がよくなって身体がポカポカと温まり発汗します。特に腰痛やヒザの痛みに良いだけでなく、腎臓の血流が良くなることで排尿が促進され、むくみや水太りの解消にもなります。

これらは行ってみると分かるのですが、とっても気分がよくなります。冷えのために不眠になっているという方は就寝前に手浴・足浴をされることをお勧めします。
一日の疲れを癒す為にも、バスタイムはゆっくりとリラックスしたいのもですね。冷え性はお風呂の過ごし方でずっと改善するのですよ。

ここまで、身体を温める具体的な方法を見てきましたがいかがでしたでしょうか?
眠る子供と寄り添うお母さんの写真繰り返しますが、体温が1℃下がると免疫力は約37%下がり、逆に1℃上がると免疫力は約60%も活性化します。生命力が強い新生児が「赤ちゃん」といわれるのは、赤い=つまり体温が高いからといわれます。毎日計るのは、体重よりも体温です!
これから冬本番です。たかが冷え性と考えずに、身体全体の健康のために是非実践されてみてくださいね。それでは皆様よいお年をお迎え下さい。

参考文献:「体を温める」と病気は必ず治る 石原結實著

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